あの曲を聴くと

大学受験が迫った高校三年の冬、授業もほとんど課外に切り替わって、学校に来るも来ないも任意の期間。僕はストーブで温められた図書室で勉強をしていた。

 

これは何も僕に限った話じゃないと思うけど、勉強をしながらよく音楽を聴いていた。(もちろん音楽を聴きながらだと集中できないって人もいるんだろうけど、僕は沈黙とか無音の方が耐え難い。これは今でもそうで、一人暮らしの部屋では大体いつもウォークマンが歌っている。)

とはいえ流石に日本語の歌詞が入っている曲を聴きながら英語や数学を解けるほど僕の頭は優秀にはできていないので、洋楽やピアノの曲をよく聴いていた。

「記憶の想起力」が最も高い感覚は嗅覚だと何かで読んだ気がするけれど、僕は聴覚もだいぶ高い記憶の想起力を持っていると思う。

今でもあの頃好きで聴いていたクラプトンのBlue Eyes BlueとかディランのThe Times They Are A-Changing'なんかを聴くとなんだか、勉強しなきゃいけない気がする。

 

もちろん、気がするだけだ。僕はあの頃からずっと休日の夜に勉強なんてしたくないのだから。