2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

あの日の僕らは花火を見てた

遠くの夜空に花が咲く音で目が覚めた。 それが実際の夜空に咲いたものだったのか、それとも僕の夢の中に咲いたものだったのかはよくわからない。 どうやら僕は研究室の机に突っ伏して、いつの間にか寝てしまっていたらしい。その証拠に暗い部屋で煌々と輝く…

『「君の話」の話』

「三秋縋」という人は,僕にとって神様の一人みたいな作家だった。 「三日間の幸福」を読んだのは高校生のころだったと思う。あのころ(高校生がよく感じる)どこにも行けない・何者にもなることのできない閉塞感にとらわれていた僕はあの作品を読んで,「あぁ,…

紫陽花

ここ数日雨が続いていて、僕はとても嬉しい。 いつだったか雨宿りを兼ねてたまたま入ったこの古びた小さな隠れ家のような喫茶店が気に入って、僕は空が泣いたときにだけここに来ている。 「雨の日にしかここに来ない」と行ったが、それは正確ではない。ここ…