今はない夜と午前四時

世界は日々狭くなっていく、と思う。もちろんそれは各地の秘境が観光地と化して行くって話でもあるんだけど、僕がここで言いたいのはもっと個人的な話だ。例えばそれは幼い頃、どうしても起きていられなかった深夜2時だったり、学校の帰り道に見つけた、どこに続くのかわからない獣道の話だったりする。今や僕らは、体力とやる気と願わくばほんの少しのカフェインがあれば簡単に深夜2時を踏み越えてしまえるし、ちょっと検索すれば大体の道はどこに続くか見当が付いてしまう。まぁそんなわけで年をとるにつれ僕らの知らない領域はどんどん狭くなっていく。少し悲しいけれどそのことは事実だ。

さて、この文章を書いている今、時計は午前四時過ぎを指している。朝か夜かわからない、昨日の延長戦で今日を迎えた僕には昨日か今日かも判別し難い時間だ。僕は狭くなる世界で曖昧なまま取り残された午前四時のような存在が好きだ。例え検索技術がどんなに発達してもOK,Google君にこの時間の曖昧さは渡さない。そんなことを徹夜明けの頭で一人つぶやいている。